竹葉久美子「やさしいセカイのつくりかた」 全6巻

5.0

「やさしいセカイのつくりかた」のあらすじ・感想を紹介します。

あらすじ

19歳でアメリカの大学院で物理学を研究していた突出した才能の持ち主(ギフテッド)の朝永悠(ゆう)は、資金難から研究を打ち切らざるを得ず、失意のまま日本へ帰国して、学生時代の恩師(礼司)の誘いを受けて女子高の講師となった。そこで、悠は、自分と同類のギフテッドで物理学に興味のある葵(あおい)と出会う。しかし、葵は、家族や周りの友達との関係性を保つためにその才能を隠していた。悠は、そんな葵に対して、日本で窮屈だった学生時代の自分を重ね、彼女の物理学勉強のサポートを始める。そして、アメリカで研究を再会するまで、葵やその親友たち(ハルカ、冬子(とうこ)、香代(かよ))、魅力的な教師の百合根(ゆりね)に翻弄される生活を送るのだった。

感想

この作品では、多感な女の子たちの、揺れ動く心が描かれています。最初、主人公はアメリカから出戻った悠と思っていたのですが、読み進めるとスポットライトが当てられているのは、むしろトラウマを抱える女子高生たちであると気づきました。ギフテッドの葵は、その才能を理解できない家族や教師に否定されたトラウマを持っているため、わざと勉強がそんなにできない振りをして、周りとの関係を保とうとしています。また、ハルカは、悠の前任の男性教師に乱暴されたことで、男性不信になっています。しかし、そんな彼女達の不自由な姿勢が、悠と出会うことで、少しづつ解消されていきます。そして、そんな彼女達の繊細な心の変化が、竹葉久美子先生のとても美しい魅力的な絵で描かれます。特に、モデルを目指しているハルカは、感情豊かな表情が魅力的に表現されていて素敵でした。

もちろん女子高で学生に手を出したらアウトですので、大人の魅力を持った同僚の百合音も登場します。ただ、彼女の心も複雑で、悠には好意を持っているが、彼との年齢差や彼の研究の足枷になりたくないなど、いろいろと悩んで、前に進めないでいる姿が描かれます。

ちなみに、バツイチの礼司も奔放な性格の教え子の冬子のサポートで悩まされます。しかも、教師と女子高生の間のアウトな関係になってしまいます。ただ、アウトな関係といっても、互いが互いにとって必要な存在であることがきっちりと説明されているので、納得のいく展開になっています。それにしても、礼司が冬子の想いを受け止めて、二人が互いに求めあう姿は、なかなかドキドキしました。

最終的に、登場人物たちは、自己の気持ちに沿った選択をして、前に進んでいくのですが、その結末は納得のいくもので、読後感がとても良かったです。

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